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伝伝虫通信バックナンバー 通巻18号
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世界中で児童労働に従事している子どもたちは、約2億1,800万人

児童労働とは・・・概ね15才未満の子どもたちが、十分な教育や成長の機会を与えられずに働くことをいいます。また、18才未満の子どもが心身の健康、安全、道徳を害するおそれのある労働に従事している場合は「最悪の形態の児童労働」といいます。

働く子どもたち エピソード2

ご飯を食べるのが、やっとです。

2007年4月、カンボジアの地雷被害者の子どもたちに対する緊急医療支援のためにタイ国境沿いのバッタンバンの町を訪ねた。

子どもたちの調査と医療支援の段取りを終え、町外れのレストランで遅い夕食を取っていた。現地のNGO団体の代表の方やドライバーと食事をしていると、ガリガリに痩せた8歳ぐらいの少年がテーブルにやって来て「おじさん、靴を磨かせてくれ」と、か細い声で頼んできた。訴えるような眼差しに負けて「いいよ。いくらだ」と聞くと日本円にすると10円ぐらいの金額を言ってきた。

カンボジアのイースワン君 11歳

少年は靴墨とブラシが入った袋を肩から下ろすと、テーブルの下に座り込み靴を脱がし丁寧に磨き始めた。汗だくになって黙々と靴を磨き続ける。泥だらけになった靴をぼろ雑巾で拭いて靴墨をつけてブラシでゴシゴシと20分近く磨いていた。ピカピカになった靴を両手で持って「おじさん、出来たよ。綺麗になっただろう」と嬉しそうな笑顔を見せた。約束のお金を払い「ありがとう」と言うと「こちらこそ、ありがとう」とニコッと笑った。「一緒にご飯を食べようか」と椅子を引いて座らせようとすると「ダメです。お客さんと一緒に、ご飯を食べると店の人に怒られます」と言ってかたくなに断った。

少年の名前はイースワン。11歳だと言う。しかし、見かけは8歳ぐらいにしか見えない。か細い体は、栄養失調状態かと思われるほどだった。出身地はプノンペンから車で5時間ぐらい離れたタケオ州の田舎町との事。お父さんは居ない。お母さんと3名の弟と妹が居る。少年はプノンペンに出稼ぎに来ていたのです。朝は5時に起きて商店街を周りダンボールやペットボトルを拾いお金に換える。夕方になるとレストランを回り食事をしているお客さんの靴を磨いている。朝から晩まで働いても1ヶ月の稼ぎは日本円にして800円にもならないと言う。イースワン君は、そのお金を貯めて3ヶ月に1回ほど故郷のタケオ州に帰り、お母さんに届けている。

「学校には行っていないのか」と聞くと「ご飯を食べるのが、やっとの状態です。僕がお金を届けないと、お母さんや兄弟が困ります。学校に行きたいけど、それは無理です」と悲しそうな表情で言った。「おじさん、ありがとう。僕は忙しいから、もう行きます」と去って行った。


我慢する子どもたち

これまでタイ、カンボジア、モンゴル、ミャンマーの4カ国で学校建築に取り組んできた。23校の学校が完成し、これまで教育を受けるチャンスさえ与えられていなかった1万人近くの子どもたちが勉強ができるようになった。時折、当団体が建築した学校を視察のために足を運ぶのだが、いつ訪ねても一生懸命に勉強する子どもたちの姿がある。

弟、妹の面倒を見る子どもたち

授業を受けている児童に寄り添うように座っている幼い子どもたちも目を引く。お父さん、お母さんが仕事をしている時には、上のお兄ちゃん、お姉ちゃんが、弟や妹を学校に連れてきて面倒を見ながら勉強をしているのです。1人2人ではありません。時には20名前後の小さな子どもたちが座っている。驚くのは、わずか4歳、5歳ぐらいの子どもでも授業中はジッと我慢していることです。騒いだり、泣いたりする子は居ません。黙ってお兄さん、お姉さんの横に座っている。6時間の授業の時もあります。それでも騒ぐ子はいない。

「小さな子どもでも我慢することは出来るのだ」と関心させられる。日本ではありえないことかもしれません。小さい時から我慢することを覚えさせるのは大事なことです。我慢することを身に付けると心の成長は早く大きくなり努力する習慣が出来ると言われています。とっても大事なことです。

授業が終わると幼い子どもたちは、お兄ちゃん、お姉ちゃんたちと一緒になって大騒ぎで遊ぶ。実にメリハリがハッキリとしている。遊ぶ時は遊ぶ。我慢するときは我慢する。これが大事なことかもしれない。