ミンガラーバー(ミャンマーの挨拶の言葉です)皆さんこんにちは!今年7月、ミャンマーに半年振りに視察に言ってきました。ここ数年、日本でも異常気象が続いていますが、ミャンマーでも今年5月、60年ぶりの大洪水が起こり、ヤンゴン市内の一部や、私達が支援活動を行っているエーヤワディー管区の一部が水没し、犠牲者も出たとのことでした。エーヤワディー管区は海に面した河口付近の地域で、大小何百という川が流れており、雨季になると水位が上がって川の流れが変わってしまうこともある地域です。さっそく、学校や井戸を建設した地域に向いました。この時期、ミャンマーは雨季真っ盛り。見渡す限り、緑豊かな平原が広がり、パーム椰子があちらこちらにすっと立っています。私達は、例年のこどく途中までは車で行き、その後は細い水路を小さなボートで移動しました。5人乗りくらいのこのボートは、船のヘリが水面から10センチしかなく、バランスを崩すと転覆するため身動き出来ません。板にジッと座っていると次第にお尻がしびれてきます。ボートの底に小さな穴が開いていて、入ってくる水を汲み出しながらの移動です。途中で、村人が仕掛けた魚とりの網や、無限に浮いている水草がモーターのプロペラに引っかかり立ち往生・・・。こんな調子ですので、乗る度にハラハラドキドキしなくてはなりません。
見えてくる景色は、何処から何処までが池(水溜り?)で、田んぼなのか、わかりません。田植えは、太ももの付け根ぐらいの水深の田んぼに、棒を使って器用に苗を植えていました。高床式住宅は水没寸前!家畜の豚やニワトリ達も水面上の小屋で飼われていました。人々は、小船で移動したり、あちこち渡してある竹竿を伝って起用に行き来しています。2、3歳の子どもでも、自分達だけですいすいと渡って行きます。私は思わず、”こんなところ、子ども一人で行かせるなんて考えられない!“と、日本人なら言うんだろうなぁ、と呟いていました。現地の子ども達の逞しさ、自立している姿は、いつも感動を覚えます。
それはさておき、皆さんにお知らせしたいことがあります。アジアチャイルドサポートでは、皆さんの温かいご支援のおかげで、主にエーヤワディー管区で井戸を掘り続けて、二百基近くなりました。その、ACSの井戸が、5月の大洪水の中でも生き残り、大行列ができたというのです。水難に遭った人々に、大変喜ばれたとのことでした。
この地域は、前述のように交通の便が非常に悪く、場所によっては、完成させるまでに1年くらいかかってしまうこともあります。私どもの井戸は、村の人口や形状、地理的条件などを調べて、それにあった井戸を計画し、まずは試験的に掘削します。小型井戸は50~70メートル、大型井戸は百~二百メートルほど掘り下げて地下水を汲み上げるのです。水が出たら水質検査を行い、安全だと証明されてはじめて、井戸を造ります。この地域は、砒素の問題があるため、特に慎重に行っています。コンクリートで固められたこれらの井戸は、大変頑丈で、村が水没した後も壊れることなく使えるのだそうです。皆さんの温かい浄財でできた井戸が、予想外の実力を発揮したのです!思わぬ朗報に私達スタッフ一同興奮し、これからも活動を続けて行く元気と勇気を貰いました。この地域では、井戸はいくつ造っても足りません。これからも、どうぞ、温かいご支援をよろしくお願いいたします。
さて、足場が悪い中、今度はマヤンチャウン村へ向いました。元ハンセン病患者の皆さんが暮らす施設があるところです。この村へ向う道路はかつて、政府が巨大な幹線道路を造ろうとしていたところですが、今は計画が立ち消えになっていて、地面が剥き出しになったまま。一番近くの町から5キロほど離れていて、乾季は車で走れますが、雨季には粒子の細かい土が軟らかい粘土となって、通るものすべての足にまとわりつきます。ですから、天気の良い日を狙ってバイクで抜け道を探しながら通るしかありません。大雨が降ると、ここも大洪水となります。そんな道を、毎日、自転車で何時間もかけて町に通っている青年がいると聞きました。アウミョーメンさん、21歳です。
彼は、15歳で右足を切断して以来、この施設の中で車椅子生活を余儀なくされていました。よほど辛い思いをしたのでしょう、身の上話は一切しようとしない、とても無口な青年でした。昨年、アジアチャイルドサポートは彼を含む4名の方に義足を装着する支援を行ったところ、若者二人は杖無しでも歩けるようになり、年配の女性二人も杖をつきながらではありますが、自力で歩けるようになりました。そのうち、青年一人は故郷へ帰ったのですが、アウミョーメンさんは年配のの人が多く暮らすこの施設に残り、皆のために生活用品調達役をかって出ているというのです。義足をつけて、手放しで歩けるようになったと言っても、毎日往復10キロもの道のりを自転車に乗り、足場の悪いところは自転車を押しながら歩いて往復するのは至難の業です。きっと、義足がすれて足が痛んだりするでしょう。でも、彼は、文句を言うどころか、喜んでこなしているとのことでした。今後とも、その役目を続けるというので、アジアチャイルドサポートで彼にバイクを支援することになりました。
アジアチャイルドサポートの仕事をしていて出会う人々は、皆色んな身体的、あるいは経済・社会的なハンデを持ちながらも、自分にできることを探して努力することを惜しみません。どんな時も、互いを思いやり、『できることの幸せ』を見つけて一生懸命生きているのです。私達日本人は豊かな社会で生活するなかで、自分の身の回りにある幸せを見つけて力、つまり『生きる力』を忘れてしまっているのではないでしょうか?アジアの様々な厳しい環境にいながらも一生懸命生きている人々の姿を通して、『生きる力』を共に思い出してみませんか?アジアチャイルドサポートでは、国際協力を通した日本の青少年の健全育成運動に力を入れております。子ども達は、私達大人の背中を見て育ちます。彼らを変えるには、まず私達から・・・。どうぞ、一層のご理解・ご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。