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伝伝虫通信バックナンバー 通巻20号
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日本村農業支援センター

プノンペンから車で3時間ぐらい北西に走り、赤土の山道をさらに30分ぐらい入るとコンポンスプー村がある。そこは内戦で手足を失った傷痍軍人と、その家族が暮らしている、人口約三千名三百世帯の村です。

カンボジアの傷痍軍人の村

村長のドイサリーさんと会ったのは昨年の3月のことです。ここに暮らしている男たちは国のために銃を持って戦ってきた。足を撃たれ、体に銃弾を受け傷ついた。地雷を踏んで両足を失った人も居る。命を懸けて国のために戦った。でも、国は何一つ補償してくれない。ビタ一文の保証金も無い。見捨てられた人々です。傷ついた人々が力を合わせて生きていこうと山の中に入りジャングルを開拓し畑を作ってきた。しかし、自分たちだけの力では生き抜くことさえ難しい状況です。「アジアチャイルドサポートの皆さん、どうか力を貸してください。私たちは贅沢を言いません。生きていくために戦っています。どうか、生きるための最低限の状況が作れるまで助けてください。」と申し出があった。

村長の真剣さは胸を打ちました。色々と話し合った結果、畑を開墾するための大型トラクターが必要だと判断しました。ほとんどの方が片足を失って義足です。その足では踏ん張る力が出ないため桑やスコップなどで耕すことは大変なことです。トラクターがあれば確実に役立つと確信しましした。

また、この村の集会所と農業研修を目的とした、約百坪の農業支援センターを建設することになりました。このセンターが中心となって村の人々の情報発信や農業支援を行っていきます。牛や豚などの家畜の導入も行い、彼らが自らの力で生きていける基盤づくりに取り組んでいきます。

カンボジアメコン大学奨学金制度スタート

第1期生と教師の皆さん

カンボジアメコン大学と業務提携により学生たちを支援する事業が正式に始まりました。カンボジアの地方においては貧しさゆえに優秀な学生たちが大学進学をあきらめざるを得ない状況があります。地方から首都プノンペンに出てきて大学に進学することは大変なことです。学費はもちろんのこと、都会で暮らす生活費を捻出することは不可能に近い。カンボジアメコン大学のイッセン学長から「何かと田舎の若者たちを支援できないだろうか。大学側も学費を半額にするなど援助を行っているが、どうしようもない状況です。どうか、アジアチャイルドサポートで地方出身の学生たちをサポートしてください。」との申し出がありました。優秀な若者を育てることは重要だと判断し奨学金制度を確立し支援することを決定しました。カンボジアの大手地元新聞やテレビなどで大々的な広告を行いアジアチャイルドサポート奨学生募集と厳正なテストが行われ、第一期生20名が決定しました。

選ばれた学生たちの言葉を聞いて涙が出てきました。学生たちの真摯な思いが伝わってきます。口々に「奨学金を頂き大学で勉強できることに深く感謝します。日本の皆さんに感謝します。懸命に学んで、この国を良くして行きます。どうか、この制度をずっと継続してください。田舎には勉強したくても、お金が無いため進学をあきらめる若者がイッパイ居ます。」など真剣な思いを語ります。

将来的にはカンボジアの大学生と日本の大学生が交流することも目標としています。日本の大学生たちに対してカンボジアの若者たちの学ぶ姿勢や懸命に生きる姿から多くのことを学と確信しています。

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