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伝伝虫通信バックナンバー 通巻21号
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世界中で児童労働に従事している子どもたちは、約2億1,800万人

児童労働とは・・・概ね15才未満の子どもたちが、十分な教育や成長の機会を与えられずに働くことをいいます。また、18才未満の子どもが心身の健康、安全、道徳を害するおそれのある労働に従事している場合は「最悪の形態の児童労働」といいます。

働く子どもたち エピソード5

カンボジアの少年少女

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カンボジア王国コンポンチャム州メイプリン村の人々との交流が始まって3年近くになる。この地域は内戦時代の激戦地でもあり、戦闘や地雷などで手足を失い、義足や義手などを身につけている村人も多い。アジアチャイルドサポートは、そのような障害を抱えた人々のためにミシン学校などの自立教育センターを建設し、支援を続けている。

村の中を歩いていると、子どもたちが働いている姿によく出会う。彼らは学校が終わって家に帰ると、すぐ畑に出て親と一緒になって農作業を行う。米などの収穫時期には忙しすぎて学校に行くことも出来ない。朝から晩まで働く。小さな体で大きなクワを振るい、畑を耕す。家畜の世話も大変な重労働だ。牛一頭が一日で食べる草の量は膨大である。カマを持って牛の餌となる草を刈る。時には豆がつぶれて血だらけになる。途上国の地方では子どもも大事な労働力なのだ。

自分よりも何倍も大きな牛を必死になって引っ張っている少女がいた。

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夕暮れになり牛を自宅へと連れ戻す途中だ。馬を連れて家に帰る途中のお姉ちゃんは、幼い弟や妹の面倒も見ていた。畑仕事を終えた少年たちに「お疲れ様」と声をかけるとニコッと微笑んでくれた。

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子どもが親の手伝いをするのは当たり前のこと。子ども達は任された仕事は責任を持って行う。気温40度近い暑さの中でも汗だくになり働く。泣き言は決して許されない。日本の子どもに仕事を与え、責任を自覚させることは大事な教育にも繋がる。お母さんの家事の手伝いをしない子どもは日本だけだと言っても過言ではない。

傷痍軍人自立センター「日本村」完成式典

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傷痍軍人と、その家族が暮らすカンボジア王国コンポンスプー州ビールトム村に、傷痍軍人自立センターが完成しました。この村は内戦や地雷などによって傷ついた元軍人とその家族の村で、村長のドイサリー氏(51歳)と5家族27名が2000年から山林を開拓し、何とか自立を目指していましたが、なかなか思うようにいかず生きていくことさえもままならない状況でした。昨年の4月に、村長から「何とかアジアチャイルドサポートの力を貸してくれないか」と緊急の連絡が入り調査に入ったのです。

2008年現在で村の人口は約1600名(約300世帯)。村人たちは農業を中心としてと自立のため働いているのですが、その生活は極貧でした。調査の結果、村人たちが集まり学ぶための施設と、山林を開拓するための大型トラクターの導入が必要だと判断し、実行に移すことにしました。

昨年の8月から工事に入り、施設は12月末には完成しましたが、水道施設工事や日本型トラクター導入に時間がかかり、やっと今年の3月に全てが整って2008年4月10日に完成式典を行いました。

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式典には村長を始めとする村人約400名とカンボジア王国女性省大臣インカンタバビ女史らが参加し、盛大に行われました。4名の僧侶の厳粛な仏教式から始まり、村長、大臣などの挨拶の後、テープカットで傷痍軍人自立センター「日本村」が正式にスタートしました。

村長は「日本のアジアチャイルドサポートの皆さんが建設してくれた、この施設から村の自立が始まる。トラクターで山林を開拓し多くの畑を作っていこう」。女性省大臣は「国を支える大事な産業は農業です。日本人の皆さんと一緒になって頑張っていきましょう。一人ひとりが自立の精神を持って生きて行きましょう」とスピーチをなさいました。

アジアチャイルドサポートの皆さんの善意が、戦争で傷つき生きることさえもままならない人々の命を支えています。傷痍軍人の皆さんは熱く燃え、当団体と提携して胡椒栽培をする計画を立てています。彼らは、農業基盤を整え自立に向けてしっかりと発進しました。