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伝伝虫通信バックナンバー 通巻35号 ①
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世界中で児童労働に従事している子どもたちは、約2億1,800万人

児童労働とは・・・概ね15才未満の子どもたちが、十分な教育や成長の機会を与えられずに働くことをいいます。また、18才未満の子どもが心身の健康、安全、道徳を害するおそれのある労働に従事している場合は「最悪の形態の児童労働」といいます。

働く子どもたち エピソード18 「お姉ちゃんに甘える妹」

カンボジアの姉妹

カンボジアの首都、プノンペン郊外の川辺の村で、しばし休憩。太陽の日差しが照りつけ40度近くの猛暑を避けて木陰で休んでいた。目の前には雄大なメコン河の真っ赤な水が、ゆったりと流れている。洗濯をする人々、食器を洗う娘、十数頭の牛を洗う男達の姿も見える。

「キャッキャッ」と笑う少女の大声が聞こえて来た。楽しげな声の方向に目をやると、お姉ちゃんが妹の体を洗っている。私達、日本人から見ると「こんなに汚れてた真っ赤な河で水遊びをするのか」と驚いてしまう。自宅にお風呂が無いのがカンボジアの田舎では当たり前。妹はお姉ちゃんの言う事を聞かない。体を洗うのは「イヤだ」と言っている様にも見える。逃げ出したりグズッたりと、もう大変。お姉ちゃんは無理矢理、妹を捕まえて河の中に。「ほら、ちゃんと洗いなさい」「綺麗にしないとダメでしょう」「困ったものだ」と言葉は解らないのだが、何となく言っている事が理解出来るのも不思議。お姉ちゃんは妹を抱きしめ、髪を洗い、顔を拭いて、汗を流し、体中をゴシゴシと汚れを落とす。妹は観念したかの様にお姉ちゃんに身を任す。二人とも笑顔がいっぱい。お姉ちゃんは母の如く、妹を愛し面倒を見る。妹は心からお姉ちゃんを信頼し甘える。その姿は美しいとさえ思った。

途上国に於いては、お姉ちゃん、お兄ちゃんが、幼い妹や弟の面倒を見るのは当たり前の事。カンボジアだけでは無く、ミャンマー、ラオス、ネパールと至る所で美しい兄弟姉妹愛を見て来た。赤ちゃんを抱っこしながら学校で勉強する子どもたちの姿もイッパイだった。その姿を見ると心から「えらいな~」と思う。

ラオスでの第6校、7校目が完成!

シエンクワン県タートム市 ダンミサイ村小学校

シエンクワン県タートム市 ダンミサイ村小学校

シエンクワン県の中心都市ペク市から南へ210kmほど行ったところにダンミサン村があります。2012年9月、この村に491万2千円をかけて頑丈な校舎を完成させました。

57世帯384名の住むこの村へは、舗装されていない赤茶けた土がむき出しのでこぼこ道が延々と続いています。雨季には粘土のようにぬめってしまい、近づくことさえ困難になります。向かう途中、壊れた竹橋がそのまま放置されている川に出くわしました。

ダンミサイ小学校へ向かう途中の壊れた橋

ドライバーはおもむろに車を降り、川にジャブジュブ入って深さを確かめては、浅瀬を選んで水に入って行きます。これを二度三度と繰り返しながら進んでいくので、“こんな山の中でエンストしたらどうしよう?”と、車に激しく揺さぶられながら、不安な思いで向かいました。4時間近くたってやっと到着。72名の子ども達と教師や村人達、政府関係者の方々等と共に、ようやく譲渡式・並びに学用品贈呈を済ませることができました。市長のパン・ポンマチャン氏(56)は、“タートム市にある24村のうち、最貧困村の一つに数えられていたこの村では十分な教育環境を整えることも出来ずにいたが、日本の皆さんのご支援のおかげで子ども達が安心して勉強することができるようになりました。周辺の村からも、素晴らしい学校だ、素晴らしい学生達だと思って貰いたい”と挨拶をされました。

パン・ポンマチャン市長と学用品を受け取って喜ぶダンミサイ村の子どもたち

シエンクワン県ペク市 ユアン村小学校

シエンクワン県ペク市 ユアン村小学校

この村は、ペク市中心部から南へ15kmほど行ったところにあります。かつて山で暮らしていた山岳民族の人びとが、焼畑農業ではなく平野部で水稲を育てて食べていけるようにと、政府の移住計画によって移動してきた山岳民族が多く住む294世帯1482名の村です。

譲渡式では、同市のカームサイ・ウァンヌアンチャン(55)副市長が“子ども達の学習環境を何より大切に考え、校舎を建ててくださった日本の皆様に感謝致します。ボロボロの校舎では雨の日には勉強できなくなっていましたが、これで安心・安全な学校になりました。是非、ここに通う子ども達にも、支援してくれた日本の皆さんのことを忘れないでもらいたい”と挨拶、同市からACSへの感謝状が手渡されました。ACSからは子ども達一人ひとりに学用品が手渡され、受け取った子どもたちはそれぞれ、大切そうに胸に抱きかかえるようにし、皆ニコニコ喜んでいました。

ユアン村のカンポン・センサキ先生とウァヌンちゃんとパーティくん

4年生のウァヌンちゃん(8)は、“学校ができて嬉しい、勉強して将来は学校の先生になりたい”学校で常に成績TOPの弟パーティくん(7)は“どの科目も勉強するのが楽しい、学校が新しくなって嬉しい”と、またカンポン・センサキ先生(31)は“新校舎ができて嬉しくて仕方ない。子ども達の将来にとって本当に素晴らしい出来事です”と語っていました。

セートーさん

この村の住人セートーさん(23)は、“私の子どももこの学校の1年生と2年生。もうこれで、風や雨の心配をしなくても良くなったで安心して学校に通わせられる”と言っていました。また、調査の為に訪問した際、なにかと村人たちとコミュニケーションを手助けしてくれた村のモン族代表、ユアパオワン氏(55)からは“子ども達のために学校を作ってくれて心から感謝致します”といって、特別な人にしか渡さないといわれるモン族の伝統楽器ケーンがACSに贈られました。

その後、支援してくれた日本の皆様へお礼の意味を込めて、バーシーというラオス伝統の儀式が大勢の村人によって行われました。将来の健康と成功、幸せを祈るものだそうです。人びとは熱心に祈って下さいました。ACSはこれからも、できるだけ沢山の人が基本的な教育が受けられるよう、最低限安心して暮らせるようにという基本姿勢を大切に、日本とラオスの友好を深めるためにも確実な支援を続けて参ります。

バーシーの様子
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