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伝伝虫通信バックナンバー 通巻43号 ③
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施設のみんなが家族だから

国民の約8割がヒンドゥー教徒のネパールでは、宗教にまつわるお祭りが年中行なわれています。その中でも、10月前後(ネワール暦)に行なわれる、豊穣と生命力を高めることを祈願する「ダサイン」、光の祭りと言われる収穫祭「ティハール」は、ネパール国内最大のお祭りと言われています。

 祭り期間中は、町や人もマリーゴールドで飾り付けられ、国外や中心部に出稼ぎに出ている人も故郷に帰り、家族みんなで祈りを捧げ、各地で開催される催し物などに参加して楽しみます。
 しかし、HIVに感染し、村を追い出された女性たちにとっては無縁のことでした。
 彼女たちは、私たちが支援をしている保護施設クライシスケアセンターに来る以前、大変な差別に遭って、生活に困窮していました。
 エイズに対する教育がなかなか普及していない地域では、近くにいるだけでも感染すると信じ、家族の誰かがエイズになったと知れると、その人物だけでなく家族一同が村から追い出され、路頭に迷ってしまう状態におちいります。彼女たちは、家族を守るために1人で、あるいは子供を連れて村を追い出され、行き場を失っているところを保護されて、このクライシスケアセンターにやってくるのです。
 寝泊まりする場所、食事や医療などが提供され、安心して暮らせるようになった彼女たちは、6年ほど前から、このお祭りの時期がやってくると、施設をマリーゴールドで飾り、祭壇を設け、お互いの額にティカを塗り、お祈りを捧げるようになりました。
「だって、ここに暮らすみんなが家族だから」と、彼女たちは笑顔で答えてくれました。

施設に暮らす女の子からのメッセージ

「わたしが、お察りのことを話せること自体が、とても嬉しいことです。なぜなら、わたしには家族や住む家も無く、保護施設に来るまでは縁のないことだったからです。施設で暮らせるようになり、みんなが本当の家族だと思えるようになりました。ありったけの愛情を注いでもらっています。お祭りでは、町の人たちと同じように、家族みんなでお祈りをし、祭りを楽しむことができ幸せです。支えていただいている皆様に心から感謝しています」


ミャンマー井戸700基

ミャンマー連邦共和国エヤワディ地域にある人口520人のレッスエ・チャウン・チェン村の小学校に井戸が完成しました。学校に通う子供たちは約100人。
 同校のツィンーカイン校長先生からは「涸れることのないキレイな水が得られるようになりました。子どもたちは健康的に成長し、しっかりとした教育を受けることができるようになるので、これからがとても楽しみです。心から感謝します」との喜びの言葉が寄せられました。同井戸は、ミャンマー国内においての700基目の井戸となります。
 井戸建設は、水質の汚染された池や川の水による腱康被害、子供たちの水汲み労働、乾期における水源枯渇等による様々な課題を改善し、途上国の人々の生活の質の向上を目指す「命の泉事業」として、団体立ち上げ以来継続してきました。
 命の泉事業は、カンボジア・ミャンマー・スリランカ・ネパール・ラオスの5か国で展開しています。
 各国の学校での募金活動、個人の方々、事業や団体の皆様からの温かいご支援に支えられ、約950基を越えました。ひとつひとつの「命の泉」は、子どもたちの健やかな成長を守る安全な水が得られるだけでなく、水汲みをすることで学校へ通う時間が奪われていた子供たちの未来への希望を支えています。

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